わさび田を背景に大庭さん一家

【生産者からのご挨拶】大庭敏成さん

 
 島根わさびの生産は、主に島根県の西端に位置する津和野町の日原(にちはら)地域で行われています。日原では明治時代の頃よりわさび栽培が行われており、私の農場では今日まで7代ほど続けています。
 かつてその評価は「東の静岡、西の島根」と言われるほどの一大産地で、大きな水害や病虫害の被害といった苦難にも負けずに、地道に圃場を修繕しながら生産が続けられていますが、平成元年をピークに後継世代人口の地域外流出と生産者の高齢化が進み、現在では出荷量は半減しています。
 
 島根わさびは、平地の極めて少なく、日照の少ない島根の山間地域の風土と相性の良い、貴重かつ主要な作物です。
 冬の雪積もる寒さや沢水による水温変化など気候の厳しさから、収穫までに約2年もの期間がわさび根茎の成長にかかるため、様々な風味成分が多く蓄えられます。また、このような厳しい気候でも順調に成育する品種が他の土地のものとは異なるため、島根わさびには特徴的な香りと粘りがあります。
 この香りと粘りが、島根わさびの美味しさのポイントです。

わさびを水田で洗う大庭さん

 私は「美味しさ」を届けることに一番こだわって栽培しています。美味しくないと、お客様はまた食べたいって思わないと、思うからです。
 ですから、収穫したわさびは、品種毎に極力自分で食べてみるようにしています。美味しくないと思った品種は、栽培するのを止めて、美味しい品種を残すことを繰り返しています。
 特に粘りがあると、極めて儚い辛味や香りが抜けにくくなり、酸化も抑えられるので、美味しい食味と美しい色を長く味わえます。理想の島根わさびは、醤油に混ぜても溶けないほどの粘りがあって、美味しさをより味わってもらえるわさびです!
 
 これまでの長い年月の間、地域の特産物として根付いたという歴史、そのための先人の努力、わさび栽培と相性の良い風土、そして山間部の生活を支える貴重な作物を、次に継ないで、これからも作り続けられるように頑張っていきます。
 常に新しい作型や品種改良など、「美味しい!」とお客様に喜んでもらえるより良い品物が栽培できるよう、追求していきます!
 
 是非、辛いだけじゃない、瑞々しい香りとほのかな甘み、粘りのある濃厚な口当たりの島根わさびを味わってみて、今までにない、本当のわさびの美味しさを体験してみてください!